妊娠中こそ歯を大切に、命を育みましょう
出産を経験する女性はもちろん、旦那さん、おじいちゃん、おばあちゃん・・・
「 マイナス1歳からはじめる虫歯予防 」 は、家族みんなが知って得をするお話です。
この新しい予防法を家族の皆が知っていると知らないとでは、生まれてくるお子さんの
人生が大きく変わってきます。
妊娠4ヶ月に入ると、お腹の赤ちゃんの歯の石灰化が始まります。
お子さんの将来に強い歯を育むには、妊娠中からの健康管理がとても大切!
そして妊娠中の虫歯治療が禁忌だったのは、遠い昔の話。
妊婦さんに聞くと、妊娠中に虫歯の治療はしてはいけないと思っている方、歯科医院には足が遠のく方が
多いようですが、近年では、歯科治療に使われる材料も進歩してきていますから、妊婦さんだからといって
歯科治療を恐れる理由は全くございません。
妊娠すると女性ホルモンの分泌が増えますので、歯肉が腫れやすくなったり出血しやすくなります。
また、唾液の分泌量や緩衝能 ( 酸によって生じるお口の中のphの変化を調整する働き ) が低下し
悪阻で、お口の環境は更に悪化してしまいます。
そのため、虫歯になりやすくなってしまう時期でもあるのですが
虫歯が感染するというのはショッキングな話ですが、子供の頃から虫歯になりやすく
いくら注意していても次々に虫歯ができてしまう人の多くの原因は、ミュータンス菌の仕業です。
ミュータンス菌はお母さんをはじめとする周りの大人から、乳幼児期に感染します。
日本人は、もともとミュータンス菌の保有率が高かったため、昔は誰もが持っている常在菌だと
考えられていました。ですが、まったく口の中に菌の存在が認められない人もいることから
今では唾液を介して感染すること広く知られるようになって来ました。
出産後のお子さんの虫歯予防のためにも、安定期に入ったら、ぜひ虫歯を治して頂き
ミュータンス・コントロールにとりかかって下さい。
虫歯の原因菌であるミュータンス菌は、唾液を通じてうつります。
ミュータンス菌は砂糖をもとに、油のようにべったりした物質 ( 非水溶性グルカン ) をつくって
歯のエナメル質の表面にはりつき付着しますが、エナメル質などの硬い組織がなければ
伝播はおこりません。ここが、粘膜に吸着し赤ちゃんが産道で感染する常在菌とは大きく異なる点です。
また、感染は常におこる訳ではなく、非常に起こりやすい時期を ’ 感染の窓 ‘ として
妊婦さんや新人おかあさん達にご説明し、お伝え申しています。
はっきりと検証されている 「 感染の窓 」 となる時期が、1歳7ヶ月 ~ 2歳7ヶ月頃
ちょうど乳歯の奥歯が生えそろう時期です。
子供の口の中に新しい歯が生えてくると、もともと口の中にいた常在菌とミュータンス菌が
歯のエナメル質表面の縄張り争いを始め
粘々とべったりしたミュータンス菌は、くっつき力が強く、瞬く間にエナメル質を占領してしまいます。
しかもミュータンス菌が作るプラーク ( 歯垢 ) は、水に溶けない非水溶性グルカンのため
家庭での歯磨きでは完全に落とすことはできません。
いくら歯磨きをしても虫歯ができてしまうという人は、ミュータンス菌が口中にある可能性が高いんです。
そして、この時期に虫歯のミュータンス菌をシャットアウトできれば、残るは力の弱い常在菌だけとなります。
常在菌のつくるプラークなら、歯ブラシで比較的簡単に落とせるので、ケアさえ怠らなければ
いつまでも虫歯になりにくい歯を維持できるようになります!
北山歯科医院では、母子 ( 親子 ) 伝播、及びミュータンス菌の感染予防をはじめ
あらゆる年代の皆様へのミュータンス菌対策を 「 ミュータンス・コントロール 」 という言葉で表現し
歯科予防の一環として取り組んでいます。