むし歯は 「 歯周病 」 と並ぶ、口腔2大疾患で多くの人を悩ませている病気です。
歯科治療の多くは対症療法で、歯は再生しない組織ですから
治療する度に歯を削ることになりがちですし、最終的には歯を失う事にもつながってしまいます。
ですから、「 むし歯は治療よりも予防すべき疾患 」 です。
むし歯は、歯の表面に付着した 「 細菌 」 が食物中の糖質から 「 酸 」 を産生し
「 酸 」 が歯を溶かす感染症です。
虫歯は、細菌の種類と量、唾液の質と量、食生活、歯質の強さ等の要因が重なった時に成立します。
そして、むし歯の主な原因菌は 「 ミュータンス菌 」 !
ミュータンス菌は、菌体表面の付着性蛋白質の抗原と、食物中の 「 砂糖 」 から合成された
不溶性グルカンによって、歯面に頑固に付着し 「 糖分 」 から 「 酸 」 を産生します。
この菌は感染し、一度口腔内に付着すると減少させることが極めて困難と言われており
母親に虫歯が多いと子供にも多い傾向があります。
虫歯の原因となる菌には、他に 「 ラクトバチラス菌 」 がありますが
この菌も酸産生を行う細菌ではあるものの、歯面に付着する能力はなく
小窩裂溝、う窩、不適合な修復物などの 「 細菌の住み家 」 があって、はじめて原因菌となります。
この菌は、口腔環境の悪さと相関性をもって増殖する傾向があります。
口腔内のphの低下! 繰り返されると歯質が溶け出し虫歯になる。
通常、身体に疲れやストレスが無ければ体液は弱アルカリです。ですから、口腔内の唾液の ph も弱アルカリから中性
ph 6.7 程に保たれています。飲食後は2~3分でお口の中の ph は4近くまで下がりますし、歯質は ph 5.5 – 5.7 で
解け始めますが、萌えたばかりの歯、歯根が露出した歯、乳歯等は更に熔けやすくなっています。
歯が溶け始める状態の事を脱灰といいます。
飲食後は2~3分で歯面についた歯垢(プラーク)が酸性に傾き、脱灰がはじまります。この脱灰の時間が長く続いたり
プラークに覆われて歯の表面が唾液に触れない、また身体の酸性度が高いほど虫歯になる危険が増加します。
ですから食後にブラッシングしたり、フロッシングをして食べかすを取ったり、キシリトールガムを噛んで
唾液分泌を促進するのが大切なのです。
唾液には、洗浄作用、殺菌作用、酸を中和する緩衝作用、再石灰化を促す抗脱灰作用などがあって
唾液の分泌量が多いほど虫歯予防に有利です。
また、歯の形成期に、適量の 「 フッ素 」 を栄養素として摂取することや、歯の萌出後に
フッ素入りのうがい薬や、歯磨剤を使う事で歯を強化し虫歯になり難くする事もできます。
「 フッ素 」 は初期う蝕に作用し、再石灰化を促し虫歯を防ぎます。
カリオグラムを用いた、患者様一人一人にあわせたオーダーメイドの予防プラン
等の項目について診査し、個人に応じたカリエスリスク ( 虫歯の罹りやすさ ) を診断した上で
予防指導と治療の対策に役立てています。
目で見て解る虫歯予防
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